Bookレビュー2012-vol.5 石渡嶺司・山内太地『アホ大学のバカ学生』

アホ大学のバカ学生 グローバル人材と就活迷子のあいだ (光文社新書)

アホ大学のバカ学生 グローバル人材と就活迷子のあいだ (光文社新書)

大学ジャーナリストと大学研究家による著書。
学生のことよりは、大学について重点的に書かれている。

特に、大学名の変更や、無意味なグッズ配布、高校校長のOBを高校訪問担当として採用していることなどの、受験生集めに関する空回りについての指摘は、大学研究家ならでは。

一方で、改革に成功した大学や、ユニークな教育活動を実施している大学などは前向きに評価されていて、宣伝ではなく客観的、具体的書かれているので、高校生や保護者にはオススメ。

また、過去50年ほどの「大学生史」も読み応えがあって面白い。

ただ、章立ての流れが悪く、内容も少し拡散しすぎている気がする。
新書というよりは、複数の連載コラムをまとめて読んでいるような感じ。

そのため全体としての主張もぼやけてしまっているけれど、きちんと手間隙をかけて学生を育てることと、そのための教育内容をきちんとアピールすることが、これからの大学の命運を分けるのだろう。