Bookレビュー2012-vol.31 ダンカン・ワッツ『偶然の科学』
- 作者: ダンカン・ワッツ,Duncan J. Watts,青木創
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/01/25
- メディア: 単行本
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「予測」というのが世の中にあって、それが何の頼りにもならないことは、リーマンショックや東日本大震災で明らかだ。
もう一つは「解釈」というのがあって、過去に起きたことを分析し、意味づけをする。
けれど、それは起こった後になって「原因はこれだ」という解釈をするだけのことで、その原因があったら絶対にそれが起こるわけではない。つまり、解釈をしてもほとんど意味はないのだ。
本書では、「偶然」をテーマに「未来の予測」と「過去の解釈」という手法を否定する。
その対案として提示しているのは、起こっている「現在」にリアルタイムに対応することだ。
つまり時間幅を短くすることで「偶然」が入り込む余地を少なくすることが、効果的なのである。
この観点からは、いわゆる「PDCAサイクル」のうち、「Plan」と「Check」が否定されているように読める。
しかし、そのサイクルの回転を早くすることで、やはり偶然の入り込む余地を少なくすることは可能だろう。