Bookレビュー2012-vol.45 大垣尚司『49歳からのお金』

49歳からのお金―住宅・保険をキャッシュに換える

49歳からのお金―住宅・保険をキャッシュに換える

まだ29歳なのだけれど、やはり心配なのは将来設計である。

本書では、定年退職後に不足されると予想される生活費をどう捻出するかについて、金融的手法によるアドバイスをしている。
たとえば、住んでいる家から老人ホームに引っ越すときは売るよりも貸したほうが良いとか、生命保険の保険金を受け取る権利を売却して、生活費を確保するといった方法だ。

こういった老後の生活費に最も影響するのが、自分の寿命だ。
本書でも指摘されているが、平均寿命というのは、生まれてすぐ死ぬ人まで含めた平均である。つまり「生まれた場合、平均して何歳まで生きるか」が平均寿命だ。

一方で、たとえば50歳の人はすでに50歳まで生きているのだから平均寿命より長く生きる確率が高い。
本書の表によれば、男性の平均寿命は78.5歳なのに対して、50歳の男性の平均「余命」は30.6歳。つまり、80.6歳まで生きることが見込まれることになる。
しかし、80歳まで生きた人の平均「余命」は8.2歳であり、80歳まで生きると今度は平均して88歳まで生きる。
こうなると平均寿命より約10年長いわけで、1年を仮に200万円程度(医療費だって若い頃よりかかる)で過ごしても10年で2000万円必要だ。

こういった長生きリスクの管理は、現代ではかかせないだろう。