ネットから始まる「ナラティブ・ソング」の潮流と、そこに流れる通奏低音
●GACKT「Episode.0」
GACKTの音声を模倣した「がくっぽいど」というヴォーカロイド・ソフトで作成され、無料動画で配信されていた「Episode.0」という曲を、GACKT自身がカバーしてCDにするそうだ。
【GACKT オフィシャルサイト】
http://gackt.com/page/release_39thnewsingle/
「がくっぽいど」により創作された曲がこちら。
Gacktによるカバー版がこちら。
普通に名曲。
戦乱の末に平穏の大切さに気付くというストーリーだ。
GACKTのリリースする曲は「僕とあなたと愛」みたいな世界観の曲が多いのだけど、全然違うアプローチの曲なので、非常に新鮮。
久々にGACKTを買おうかな、という気になった。
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一方、これはお嫁様から教えていただいたのだけど、ヴォーカロイドで作った「Just be firends」という曲が一昔前にネットで流行っていたらしい。
オリジナルがこちら。
で、このヴォーカロイドで作った曲を人間の声でカバーする動きが出てきたと。
さらに、複数人で歌う「合唱」というコラボまであるのだ。
ラップ歌詞まで付いてるし…。
さらにさらに、今度は踊り出したのだ。
曲も、原曲とはだいぶ変わっている。
これに関して著作権なんて言い出すと、収拾がつかないだろう。
●「悪の娘」
最後にもう一つ、紹介。
これは、職場体験に来た中学生に教えてもらったのだが。
「悪の娘」という動画である。これはシリーズ化されている。
この「悪の娘」は、音楽でありながら、「泣けるストーリー」についての評価が高く、小説やマンガ、舞台にまで派生している。
- 作者: 悪ノP
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●通奏低音としての世界観
「CDが売れない」と言われる一方、こういった無償の創作活動は、どんどん伸びていると思われる。
つまり、「楽しみの消費」が減っているのではなく、「創作の自由度」が高まった結果、創作物の量が飛躍的に高まった。
結果として、既存のメジャーレーベルが占めるシェアが縮小したというのが、実態だろう。
特に、ここで紹介した3つの作品は、共通したものがあるように思う。
ひとつは、音楽でありながら「物語」なのである。
昨年ヒットした「トイレの神様」も「物語」だった。
アンジェラ・アキの「拝啓、十五の君へ」も、「物語」だ。
「ナラティブ・ソング(物語歌)」が、これからの新しい潮流かもしれない。
もうひとつは「バッド・エンド」だ。
「ハッピーエンド」ではなく、悲劇なのである。
しかも、物語の始めから終わりまで、物悲しさが漂っている。
「突き抜けた明るさ」は、一時の現実逃避としての効用はあるにせよ、僕たちの心の奥深くには響かないのかもしれない。