Bookレビュー2011-vol.65 常見陽平『就活の神さま』

就活の神さま?自信のなかったボクを「納得内定」に導いた22の教え?

就活の神さま?自信のなかったボクを「納得内定」に導いた22の教え?

採用コンサルタント常見陽平氏による就活小説。

冴えない大学生の晃彦が、3年生の春の就職ガイダンスを皮切りに就職活動を進めていく。
就活に悩む晃彦の相談に乗ってくれるのが、アルバイト先のカフェのマスター、ジミーさんである。
ジミーさんは、なんと元大手企業の採用担当者だったのだ。
果たして晃彦は、無事に就職活動を終えることができるのだろうか。

…というストーリー。

かなりリアルな物語で、就職活動をしたことがある人なら、思い当たる節がいくつもある。
そして急展開を迎える最終章の物語は、人生の通過点としての就職活動における本書の一つの結論といえる。

一方、現役の学生であれば、物語と並行して用語の解説などがあるので、ストーリーに沿って就職活動で必要な知識を得られる内容となっている。
これを読めば、就職活動を疑似体験し、だいたいの流れがイメージできるだろう。
また、最初から読み返せば、物語冒頭の晃彦の発言や思考が幼稚なことに気付かされる。
読んでいると気付かないが、物語が進むにつれ晃彦は少しずつ大人びていっているのだ。
就職活動自体が大人へと近づく道のりでもあることを、それとなく示している。

ただ「普通の大学生の晃彦」が持っていた「普通でないもの」が唯一あり、それはジミーさんである。
普通は、ジミーさんのような採用のプロフェッショナルは身近にいない。
(大学のキャリアセンターくらいだろう)

だからこそ、本書は身近な「アドバイザー」として稀有な価値があるのではないかと思う。