Bookレビュー2011-vol.74 岡田斗司夫 福井建策『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』
なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門
- 作者: 岡田斗司夫,福井健策
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2011/12/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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コンテンツのフリーな流通を提唱する岡田氏と、著作権の専門家の福井氏の対談本。
結論から書けば、「今の著作権をとりまく社会の枠組みにはムリがある」という点で両者は一致している。
ただ、一部の大人気クリエイター以外はコンテンツでは金銭を得られないと主張する岡田氏と、著作権によってクリエイターに金銭的なメリットを還元することが豊かな文化を生み出すという福井氏で意見は異なる。
ただ、さっと読んでしまうと見落としてしまいそうになるが、この意見の違いはもっと根深い部分に起因している。
というのも、岡田氏は「法律の変化がなくても」コンテンツとクリエイターを取り巻く状況は変わると主張していて、その上で「より良いコンテンツ流通のための枠組み」を提唱している。
一方で、著作権の専門家である福井氏は、法律が現行のままであれば、コンテンツもクリエイターも今のまま大きく変化しないという認識をしている(そう明言はしていないが、変化について語るときは法律についても触れている)。
個人的には岡田氏に賛成である。
法律を現状維持したところで、クリエイターやコンテンツ、それらに関わる産業も現状維持できるとは限らないのだから。