Bookレビュー2011-vol.75 鈴木謙介『SQ "かかわり"の知能指数』

SQ “かかわり”の知能指数

SQ “かかわり”の知能指数

タイトルや表紙は自己啓発本だけど、内容は社会学

日本の戦後の歴史を辿りながら、ポスト消費社会について考察し、提言している。
「経済成長時代」という1階の上に築かれた「2階としての消費時代」。
しかし、1階部分が崩壊したにも関わらず、2階だけがアンバランスなまま存在し続けていた。
いや、もう既に崩落していて、その残骸が「無縁社会」かもしれない。

けれど、「無縁社会」はあくまで「過去の残骸」であって、消費社会を生きた世代の問題である。
今の若い世代が作っている社会はもっと「繋がって」いる。
その繋がりを、世代を超えて広く社会に活かし、身近な助け合いをしようという提言が、本書である。

例えば、ソーシャルな場としてのショッピングセンターや、コンセントを壁面ではなく中央に配置したリビングによってバラバラにならない家庭、偶然すれ違った個人個人が電力を譲り合う電気自動車などの提言が盛り込まれている。


<「何を買ったか」ではなくて、何をしたか、何を伝えたか、何を手渡したか、そうしたことでその人の価値が測られる時代です。>

この一文に、本書の全てが凝縮されていると思う。