Bookレビュー2011-vol.48 高田和明『ジェノサイド』
- 作者: 高野和明
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/03/30
- メディア: 単行本
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伊藤計劃 『虐殺器官』とは、似て非なる小説。
『虐殺器官』は、善なる人間に秘められた「虐殺」をえぐり描く。ラストシーンはまさに「えぐられた虐殺」と言えるだろう。
一方、本書は人間の性質に「虐殺」を置き、その一方で、わずかな「人間の善性」を描く。
本書のもう一つのテーマは「人類」そのものである。
そのテーマを描くためには、「超人類」に登場してもらう必要があったわけだが、この「超人類」の存在感が不足していたように感じる。
森博嗣の一連作品に登場する天才「真賀田四季」の存在感には残念ながら及ばない。
本書は、政治的にも科学的にも、事実とフィクションが織り交ぜられており、その区別を付けるには一定の知識が必要だが、全てフィクションとして物語に没頭するのが正しいように思う。