Bookレビュー2011-vol.62 マルセル・モース『贈与論』

贈与論 (ちくま学芸文庫)

贈与論 (ちくま学芸文庫)

全人類に共通する慣習「贈与」。

これは、単に与えるだけではなく、受け取った側が返礼の義務を負うという点に特徴がある。
また、贈与に対する返礼といっても単なる物々交換ではなく、宗教的・法的・競争的・経済的・政治的な要素を多分に含んでおり、それらは全て集団的である。

本書は、世界各所および、あらゆる時代における人類社会の贈与活動についての考察を通して、現代社会が陥っている個人主義偏重を批判している。

本書で提案されているのは、貨幣経済に偏重しない、より集団社会的な人類の営みである。