Bookレビュー2012-vol.7  古市憲寿『絶望の国の幸福な若者たち』

絶望の国の幸福な若者たち

絶望の国の幸福な若者たち

26歳の若者社会学者による若者論。

「若者」という言葉の発生や、各時代の若者像を調査して述べたうえで、現代の若者について考察する「若者史論」的な本でもある。

その結論は、「現代では、老若男女みんな若者的だ」という身もフタもない意見だ。

実際のところ、まだ若者と呼べない年齢の子供を除けば、みんなかつては若者だったわけで、若者的な部分があるのは当然だろう。

むしろ問題は、「若者的ではない的なもの」ではないか。
「若者ではない的なもの」という奇妙な日本語にしかならないのは、それを端的に示す言葉が「老人的」といった、かなり極端な表現しかないからだ。

その「老人的」な人々は本書でも数多く登場するし、それを著者の独特のウィットを利かせて表現したのが「ノスタル爺」だろう。

そして、「若者的」とは、ノスタルジーに浸らず、今現在を楽しみながら生きることなのかもしれない。