「将来年金はもらえない」のウソ
年金が破綻しそうだ、という話をよく聞く。
これは、現在の現役世代が支払った年金を現在の高齢者に給付しているためで、高齢者が増えると、現役世代が支えられなくなるからだ。
で、よく言われているのが「今の若い世代は、年金を払っても将来受け取れないから損」というものだ。
けれど、よく考えてみたい。
まず、若い世代が支払った年金は、高齢者に給付される。
給付された年金は、消費されるか、貯蓄されることになる。
消費されたお金は市場に戻るので、労働を担っている現役世代に、すぐに還元される。
しかし、老後のために貯金する高齢者も多い。
実際、日本の貯蓄の大半は高齢者で占められているそうだ。
高齢者である時点ですでに老後なのだが、いつまで生きられるか分からないので、ずっと貯金し続けるしかないということらしい。
けれど人間には寿命があるので、どこかの時点で亡くなることになる。
すると、この亡くなった高齢者の貯蓄は相続される。
この相続を、年金と思えば良いのではないか。
例えば、ある世代が60歳になったとき、年金が破綻したとしよう。
この世代は制度上の年金は受け取れない。
一方で、親世代はすでに80〜90歳であり、すでに20〜30年間は年金をもらっている。
ちょうど、平均寿命に達しているので、亡くなる親も多いだろう。
その際に親の貯蓄は相続されるので、現役世代が支払った20〜30年分の年金は受け取れることになる。
つまり、年金は国が管理しているのではなく、親の通帳で管理されていると考えれば、支払った年金に相当するお金を受け取れないということはなく、ちょうど60歳当たりで受け取ることになるだろう。
もちろん、親世代が受け取った年金の一部は消費されているけれど、そのお金は市場に還元されているので、すでに現役のときに受け取っていると考えればよい。
以上のように、「将来年金はもらえない」というのは正確ではないだろう。
ただし、これは世代全体で考えたときの話なので、個別に見れば平等に受け取れるわけではない。
例えば、年金を払っていない若者の親でも年金を受け取っているだろうし、年金を払っていても親がお金をたくさん消費していれば、個人としては受け取れるお金は減ってしまう。
また、兄弟が多いとそれだけ分割されてしまうので、損ということになる。