専業主婦志向の行動経済学(涙)

若い女性(20代前半まで)の中で、「専業主婦志向」への回帰が見られる。
大学のキャリアセンターに「お嫁さんになりたい」という相談が来るなんて話もある。
今日、大学3年生の女子と話をしたが、やはり周囲に専業主婦になりたい友人が多いと言っていた。

これは、以前の勝間ブーム、すなわち、年収600万円を目指したカツマーたちが決して幸せになれていないのを目の当たりにしてきたことの反動だと思われる。

だが、これは注意が必要だ。

なぜなら、専業主婦になるには、高収入の夫が必要だからだ。
しかも、これは想像だけれど、彼女らが目指す「専業主婦」というのは「生活を切り詰める節約主婦」ではない。「優雅なセレブ生活」とまではいかなくても、「不自由しない生活」をイメージしていると思う。

しかし、そもそも、そのような収入がある男性は少数派である。
よって専業主婦志向の女性は、その少数の男性を取り合わなければならない。
結果として、その男性は複数の女性からモテモテなので、結婚せずに今の状態を維持したいと考えても不思議ではない。
またその女性も、10歳くらい年上の男性からも声をかけられるものの、そんなオッサンは眼中に無い。

一方で、共働き志向の女性は、相手に高収入を求めないので、選択肢が広い。
男性の収入が基準にならないので、性格の一致などが重視され、適切なタイミングでうまく結婚できる可能性が高い。

そうこうしている間に、専業主婦志向の女性は30歳をとっくに過ぎていて、いつの間にか「高収入の同世代の男性」の興味が、「自分より若い女性」に移ってしまっていることに気付く。
仕方が無い、と低収入の男性に目を向けても、すでに共働き志向の女性と結婚してしまっている。
以前に声をかけてきたオッサンは、今も声をかけてくるが、もっとオッサンになって加齢臭がしている。
結果として、「専業主婦」を目指していたにも関わらず、一生、働いて自分を養わなければならなくなる。

一方、結婚したときは低収入だった男性も、キャリアを積み重ねて、高収入となり、妻と子供を養えるようになる。共働き志向だった女性も、今では専業主婦として家庭を支えている。

嗚呼、予想どおり、不合理(涙)

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 増補版

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