「老後の社会保障の大義名分」と、「戦勝国でしか若者のデモが起こらないこと」の関連について

世代間格差という問題がある。

例えば、高齢者はかつて支払った以上の年金を受け取りながら高福祉を享受できるが、今の若者はそうではない、というような問題だ。
こういった状況に対し、不平等だという声があがっている。

一方で、高齢者からは「老後を楽しみにこれまで頑張ってきた」という反論がある。
このとき難しいのは、高齢者が「これまで頑張ってきた」という厳然たる事実である。
戦後の日本の復興から高度経済成長を経て、今の日本の豊かな暮らしがあるのは間違いない。
今の格差社会保障制度は、この「今の日本があるのは高齢者のおかげだ」という大義名分に支えられているといっても良いし、そして、若者もそれに対して一定の理解を示している。
 
一方で、フランス、イギリス、アメリカなどでは、若者による格差是正のデモが起こっている。
これらの国が、全て第二次世界大戦戦勝国であることは注目に値するだろう。
つまり、「戦後の復興」を体験していない国であり、高齢者に「国を再生したという大義名分」が存在しないのではないか。
それゆえ、若者は反旗を翻す余地があったのではないだろうか。
 
日本も、団塊世代より下の世代は、「バブル時代に浮かれ、難なく就職した世代」であり、「バブル崩壊後の失われた20年から再生を果たせなかった世代」である。

この世代には、残念ながら「大義名分」がない。
今の高齢者と同等の社会保障を享受することは、ほとんど不可能だろう。