【家を買うこと】その2:新築か中古か、戸建かマンションか

「持ち家か賃貸か」、と匹敵するほど比較されるのが「新築と中古」「戸建とマンション」である。
一体、どれが得なのだろうか。

これは、ふつうに考えれば分かるが、どれも同じである。

というのも、住宅販売の価格は自由競争市場で設定されているからである。
つまり、売り手は「この値段なら売れる」という値段設定をしている。
もし売れなければ、値下げがされるだろう。
最終的には、買い手がつくまで値下げされる。

一方、買い手は、新築、中古、戸建、マンション、それぞれを比較するはずだ。
その中から、もっとも良いと考えるものを買う。
このように、新築、中古、戸建、マンションはそれぞれで価格競争をしているので、このうちのどれか1つが「誰にとってもお得」ということにはならない。

ただし、個別に見れば別である。
「汚い家はいやだ」「駅から遠くてもかまわない」など、個人の好みは様々だ。
なので、自分は良いと思っても他人は嫌だと思っているような家は、安く買えるだろう。


ここで重要なのは、最初から「新築戸建」などと限定せずに、それぞれを比較することである。
いくら市場が自由でも、買う側が自ら購入する市場を制限していては、不必要に高い買い物をすることになる。
少なくとも、「新築戸建と中古戸建」「新築戸建と新築マンション」など、2種類程度は比較したほうが良いと思う。


ところで、この理屈だと「持家と賃貸」も価格競争をしているから、どちらか一方だけが「お得」とはならないように思える。

しかし、賃貸住宅は誰でも借りられるが、販売住宅は住宅ローンを組まないといけないなど条件がある。

なので、「住宅ローンを組めない人」は賃貸住宅に住むしかない。
この場合、賃貸住宅の費用が販売住宅より高くても、賃貸にしか住めなければ高い代金を払わざるを得ない。
つまり、賃貸住宅は販売住宅に対して自由競争の状況になく、賃貸住宅は販売住宅より高くても売れるのである。

一方、販売住宅の場合、賃貸より高い価格設定をすれば、売れない。
というのも、家を買える人は賃貸にも住めるからである。
よって、販売住宅の値段が賃貸住宅より高くなることは、構造的に起こりにくい。

以上から、「持家か賃貸か」という問いについては、少なくとも「賃貸のほうがお得ということだけはない」と言えるだろう。