実際のところ、いくら残業してもあなたの給与は増えません。

「時間給で働く人が、業務の効率を自ら高めること」の困難さを感じている。


これは正社員でも残業の場合に当てはまるが、時間給は「同じ仕事なら、ゆっくりやれば給与が増える」という状況なわけだ。
アルバイトなどの場合、シフトが固定化していて残業を許可しなければ「その人の給与」は増えないが、それでも「その時間に行われる業務量」は少ないわけだから、雇用者からすれば「総人件費」は増えている。
もしくは、本来やるべき業務が行われないので、売上が下がる。
専門用語を使えば、人時生産性が下がることになる。


「ゆっくりやる」には、悪意の有無は関係ない。
例えば、「正確さ」を求めるには一定の「ゆっくりさ」が必要である。
しかし、「過剰な正確さの追求」は「過剰なゆっくりさ」を招き、有害である。
求めている「作業の正確さ」が過剰かどうか、というのはどう見極めるべきだろうか?


「100円の損失」を防ぐために「100円を費やす」のは、明らかに間違っている。
そんなことなら、はじめからその100円を有効な投資に使うべきである。
例えば、時給1000円の人が、100円の損失を防ぐ作業に6分以上を費やす(100円かける)くらいなら、その6分間を売上向上に使うべきだ。
もちろん「他人に迷惑をかける」「法的、倫理的に正確に行わなければならない」という場合は別だ。


また、勘違いしている人が多いが、


「マクロな観点では、給与は、いくら残業しても、増えない」。


これは、ある意味では当たり前のことだ。
給与は、時間から生じるのではない。
時計から、お金が出てくるのではない。
給与は、事業の利益から出てくるのだ。
つまり、


「どれだけ働いても、利益が増えなければ、給与は、増えない」


これは理屈では分かるが、実際には残業代が支払われ、働けば働くほど給与が増えている(ように感じる)ので、感覚的には分かりにくい。
なので、こう言い換えよう。


「あなたが、その業務をもっと短い時間で行えば、あなたの時給は上がる」
または、
「あなたが、残業を減らせば、ボーナスが増える」


これはもちろん、理想論である。
削られたアルバイトの人件費や残業代が、株主の配当に当てられたり、商品の値下げの原資に当てられたりする可能性もある。


とはいえ、「残業すれば給与が増える」というのが間違っていることには変わりは無い。