作れなくなっていく僕たち
- 作者: 中村佑介
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2009/08/11
- メディア: 大型本
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イラストレーターの中村佑介氏の講演会に行ってきた。
テーマは「ないものは作る」。
超合金のロボットのおもちゃを買ってもらえなかったので、牛乳パックで、鳥に変形もできるロボットを設計して作ったというエピソードなどが紹介された。
今回の講演で痛感したのは、僕たちは「作れなくなっている」ということだ。
もちろん、社会人であれば、何か1つは作ることができるはずだ。
その人はそれで給料をもらっている。
それは「自動車の部品」かもしれないし「納品伝票」かもしれないし「お客様の笑顔」かもしれない。
しかし、中村さんの言う「作る」とは「自分の生活に身近なあらゆるもの」である。
これに関しては、僕たちは壊滅的に作れなくなっている。
なぜならば、それらは既にあるからである。
「ないものは作る」のだとしても、「あるから作らなくなり、作れなくなる」という問題を、僕たちは抱えている。
現代社会ではほとんどのものが、自分で作るよりも買ったほうが、手軽で、上質で、なにより安い。
Tシャツだって、自分で作るよりユニクロで買ったほうが安い。
カルボナーラだって、自分で作るよりキューピーのレトルトを買ったほうが安い。
自分で作るほうが高くつくのだから、「買えないから自分で作る」ということは、ほとんどありえない。
これは、社会の成果であると同時に、喪失である。
取り戻す必要はないが、補う必要があるのではないか、と思う。