Bookレビュー2012-vol.68 小林多喜二『蟹工船』

蟹工船

蟹工船

「天の上に人を作らず、天の下に人を作らず」の『学問のすすめ』から50年後の日本の格差社会と、そこから反転するエネルギー。

Bookレビュー2012-vol.67 福沢諭吉『学問のすすめ』

学問のすゝめ (岩波文庫)

学問のすゝめ (岩波文庫)

明治維新から近代化へ進む日本の思想的な躍動感を感じる。

「人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」なのだが、それは「機会平等」であって、「結果平等」ではない。
競争社会の到来を感じさせる。
この50年後に『蟹工船』が書かれたことは注目すべきだろう。

Bookレビュー2012-vol.66 吉野源三郎『君たちはどう生きるか』

君たちはどう生きるか (ポプラポケット文庫 日本の名作)

君たちはどう生きるか (ポプラポケット文庫 日本の名作)

中学生の主人公が、友人や家族との日々の生活を通して、自分と社会との関わりを考えていく。

その思考を引っ張っていくのは「おじさん」だ。

「後悔」や「痛み」についての考察は、とても面白かった。

正しい理性の声にしたがって行動するだけの力が、もしぼくたちにないのだったら、なんで後悔の苦しみなんか味わうことがあろう。

Bookレビュー2012-vol.65 イケダハヤト『年収150万円で僕らは自由に生きていく』

年収150万円で僕らは自由に生きていく (星海社新書)

年収150万円で僕らは自由に生きていく (星海社新書)

いろいろ叩かれているみたいなのだけれど、まともな内容だと思う。
「年収150万円」とか「自由に生きる」とかは内容と関係なく、内容と関係がないタイトルにしてしまったのはどうかと思うけれど。

ポイントは「お金を相対化しよう」ということにあるのだろう。

お金はそもそも交換レートなので相対的なものだったのに、社会の発展によってあまりにも分業が進んでそれぞれが距離的に離れてしまったので、物理的な問題が大きくなり、お金がないと欲しいものが手に入らなくなった。
お金がないと欲しいものが手に入らないので、お金が絶対的に必要になる。

けれど、「別の交換レート」を使って、欲しいものが手に入る状況になれば、お金を相対化できる。
何かを手に入れるには「代わりの何か」が必要だけれど、それはお金である必要はない。
「お金でしか手に入らないもの」もあるし、「お金では手に入らないもの」もあるし、お金でなくても手に入るもの」もある。
そういう状況で、「お金しかない」というのはそれほど良いものではない。

Bookレビュー2012-vol.64 常見陽平『「意識高い系」という病』

『「キャリアアップ」のバカヤロー』(講談社+α新書)の姉妹編のような感じ。
「意識高い」が思想的な活動だとすると、「キャリアアップ」は実践的な活動と言えるかもしれない。
こういう人たちがいるのは把握しているけれど、楽しそうだし良いのではないか、とも思う。
パワーが高すぎて超回転している一方で、周囲との摩擦係数が低いのであまり外部に運動エネルギーとして伝わらず、ムダを発生していることが多いと思うけれど。

セルフブランディングについては、インターネットに限らず、本人が自分について情報発信している場合、都合の良いように切り取りやすい=記号化しやすいので、あまり真に受けないほうが良い。

2012年に書いた中から選ぶ5つの記事

2012年の後半は記事を書いてないし、前半もあまり覚えてない。
おお、こんなことを考えてたのか、という感じ。

●1.携帯「電話」は、もはや「有料オプション」でしかない。(2012/1/5)
http://d.hatena.ne.jp/esse-re/20120105/1325777309

通話アプリのLINEが急激に普及したのは、この後のことだ。
意外なのは、「携帯電話の中に入っている電話番号」というクローズドな繋がりが、ヒット要因となったこと。

●2.住宅ローンについて。(2012/2/1)
http://d.hatena.ne.jp/esse-re/20120211/1328953614

結局、家を買った。
ローンは、変動金利と固定金利の半々で組んだ。
けれど、自民党政権になったことにより、思ったより金利上昇は早そうだ。

●3.情報社会と「賢くなれない消費者」について(2012/2/24)
http://d.hatena.ne.jp/esse-re/20120224/1330089900

ややタイトルがズレているかもしれない。
「消費情報の蓄積と共有」ができないことについて。

●4.囚人のジレンマ、電力のジレンマ(2012/5/6)
http://d.hatena.ne.jp/esse-re/20120526/1338041186
予想通り、「電力が足りた」という言説が広まっている。
「足りた」という言葉の定義が曖昧だが、修正はもう難しい。

●5.SNSにおける「∩キャラ」と「∪キャラ」について(2012/4/9)
http://d.hatena.ne.jp/esse-re/20120429/1335697659

Bookレビュー2012-vol.63 南俊基『書いて身につく!会社分析ドリル』

書いて身につく!  会社分析ドリル

書いて身につく! 会社分析ドリル

経営の財務分析をワーク式で解説した本。